畳とイ草への思い

畳は日本発祥の世界に広がる伝統文化

現存する最古の畳が奈良県の正倉院にあり、少なくとも1300年以上前よりこの日本に畳が存在していたことが確認できます。また、畳表の材料であるイ草はインドより、そして畳縁となった織物は朝鮮半島より日本へともたらされたものですが、畳そのものは決して外国から渡って来たわけでなく、固有の文化であることがわかっています。

日本固有の文化でありながら、この国で畳のお部屋は減り続けています。住宅の洋風化が進み、私たちの生活に畳が合わなくなったことがその理由と言われています。それと同時に、畳が私たちの周りに存在することがあまりに当たり前になってしまい、その良さに気づかなくなり、次第に関心が薄れているとも考えられます。

畳が減る一方で、この現代において、畳の快適さを知った諸外国の方々に畳が受け入れられ、少しずつですが広まっていると言われています。そして、報道によると中国での畳の普及率は加速度的に上昇しており、一説には、いずれ畳の市場規模は日本を抜いてしまうとさえ考えられています。

そのような国境や時代を超えた高い価値を持ちながらも、衰退の一途をたどる畳を今一度見つめなおし、再興する必要があると考えております。

伝統的な畳製作技術を基盤とする

伝統ある畳文化の一端をこの現代で担い、このまちへ畳をお届けするにあたって、古典的な手作業による畳製作技術を私たちは大切にします。機械化が進み、畳を作ることは以前に比べて手作業の割合が少なくなりましたが、伝統的な畳製作の知識と技術こそがすべての基本となっていることには変わりがありません。決して軽視することなく、私たちの基盤として、在籍する一級技能士を中心に日々の仕事に活かしていきます。

イ草こそ畳の主材料であり、守るべきもの

 

畳の表面を覆っているはイ草でできた畳表であり、イ草は田んぼで栽培される農産物です。かつて数千件もの農家さんが栽培してきたのは今は昔。国内一の産地である熊本県ではすでに農家さんの数が500件を下回る現状。そのほか、高知県では3件、石川県では1件にまで減少し、私たち畳店は畳表の確保、ひいては畳文化の存続を大変心配しております。この先、畳をお客様へお届けしつづけるためにも、産地の農家減少の現状を理解した上で営業に取り組み、そして販売活動を通じてイ草の畳の再普及に努めてまいります。

畳とは色を楽しむもの

イ草の畳表が少なくなる反面、和紙やポリプロピレンなど工業製品の畳表が増えつつあります。その良さは、色あせないことやカビが生えないことに加え、青や赤など様々な色があること。当店としてはイ草の畳の良さを大切にしつつも、お客様にカラーを選ぶ楽しさやお部屋に彩りがもたらされる感動を味わっていただきたいと思います。

誠実かつ迅速に対応する

畳はお客様の生活の一部です。身体を休める寝室、大切なお客様をお迎えする客間、そして、家族が集まるリビングなどで畳は使われています。お客様が必要とされるときに私たちは畳の新調や表替えなどのサービスを誠実かつ迅速に提供させていただくことで、畳の上での心地よい生活へ向けてお手伝いできればと思っております。